受験対策が1番後回しになるけど、センター試験では配点200点分!大学受験では避けて通れない国語の試験。この記事では、国語のなかでも、何をしていいかわからず、余計苦手になる受験生が多い古文について、受験専門予備校の国語講師がおすすめする「夏休みに学力が必ず上がる学習をするための参考書・問題集」をご紹介します。
この記事はこんな人におすすめ!
- 短期間で古文の成績アップ・国語の偏差値アップを図りたい受験生の方
- 古文の参考書・問題集、どれを使えばベストなのか分からないという方
- 受験のプロがおすすめする古文の参考書・問題集を知りたい方
- 古文の学習を今までほっておいた、古文が苦手な受験生の方
- 理系国公立大学志願で古文が苦手な受験生の方
古文の参考書、夏にガチで成績をあげるならコレ!
部活引退、本気で受験モード、でも古文をどう学習したらいいかわからないあなたへ、国語科講師がおススメ参考書とその使い方を教えます。
いよいよ高校最後の夏休み。
入試に向けて本格的に焦りだす時期となりました。
さらに、今年の大学受験生は、何よりも特別な学年。来年度からセンター試験が無くなり、新しいテスト形式になるからです。
国公立大志願の現役生たちには、新テストでの浪人生活がどうなるか予測できない、かなりシビアな条件となっています。
また、私立文系を目指す学生の皆さんにとって、ここ数年の私大合格者定員を抑える動きは、本来の実力相応大学への合格を難しくしています。
上位偏差値の学生たちが、安全校を求めて10程度下の偏差値帯の大学を受験するため、模擬試験での実力相応校を受けても、合格圏からはぶかれてしまうのです。
大学側の事情としてもデリケートな助成金の問題があるため、一概に大学が悪いわけではないのですが、辛い現実なのは確かです。
■私立大学・文系の合格人数に関する参考記事
そこで、1番後回しになるけど、センター試験では配点200点分!避けて通れない国語にロックオン。
その中でも、何をしていいかわからず、余計苦手になる古文について、夏休みに学習するための参考書・問題集を紹介します。
記事を書かせて頂く私は、15年間、受験専門の国語科講師として予備校〜全国高校〜ネット配信授業で教鞭を執らせて頂いています。
もちろん最難関国公立大から専門学校の入試問題まで幅広く取り扱うなかで、本当に多くの学習参考書・問題集に出会ってきました。
そして多くの参考書・問題集と出会うたびに購入し、解答してから、学生たちに紹介しています。
そんな学生たちが使用しているなかで、使いやすく、成績の向上に役立つ参考書、問題集を厳選して紹介します。
【単語】桐原書店「古文単語315」|読んで見て覚える重要古文単語315
単語帳はどれも同じと思う人も多いのですが、かなり出版会社によって違います。
学校で配られるものを、そのまま使っても大きな問題はないです。
でも、これから本格的に古文をやる人、学校でもらった単語帳が使いにくい人は、
桐原書店「古典単語315」を強くお勧めします。
この単語帳は、とにかくシンプル。
要らない要素を覚えさせる事がなく、受験問題で出てくる単語の意味を、文書の中で訳しやすい、さらに高校生が、普段使っている現代語で紹介しています。
例えば、
形容詞はプラス、マイナスのイメージでとりあえず覚えてから、2周目で意味を細かく覚えると言ったカテゴライズがうまい参考書。
ゴロ要素もありますが、1つの意味とひとつの発音でゴロをつくるのではなく、多義語の根っことなる意味が、大まかにわかるようなゴロや、連想しやすい絵をつけてイメージが湧くよう説明しています。
また、もう一つのおススメ点として、付録の章が大変充実していて、古典常識がたくさん載っています。
平安時代なんて、タイムマシンでもない限り、誰も見たことがない世界。
その時代の人間関係から心情を読みとれ、という問題のほうが無理な話です。
そこで、必要最小限の生活環境・物語に登場しやすい人間・話題・当時絶対だった身分関係の知識を入れておくべきです。
例えば、古文の文章は、恋愛話・出家話・死ぬ話が多い、ということを知っているだけで、全然わからなかった会話文が「あれ、これは世の中…憂し、捨てる、とあるから、出家かな」と予測がつきます。
ぐんと読むスピードがあがるし、単語の意味のつながりがわかりやすくなります。
そんなよくある話のなかで多用される語句のまとめもついています。
和歌の知識や、解釈、文法問題も、解説されていますから、一冊だけでもかなり古文の必要事項を網羅しています。
古文は、単語と常識を知らないと、外国語よりタチが悪い。
まずは、古典単語を知り、ひとつの単語にある複数の意味から1000年前の生活にはめ込んで意味を決定していくのです。
スマホ学習アプリ「きりはらの森」
そして、忙しい受験生でも、スマホは毎日見ますよね?
桐原書店は無料アプリ「きりはらの森」があるので、クイズ形式でスマホ確認テストが出来ます。
既に単語帳を持っているなら、単語帳そのものの解説が見られるので問題なし。
古語から現代語、現代語から古語、どちらも出来ます。答えはすぐページをめくればリンクします。
古文に対する誤解|まず下記の古文誤解を正しく認識し直しましょう。
日本語なんだから、わかるはずだ
わかりません。
わかるはずがありません。1000年前の生活感がわかる人はいません。外国語より過去語はタチが悪いんです。
ゴロや〇ドンナで最低限で良くない?
もちろん良いです!取り掛かりとしては。そしてあなたが二次試験・私立大学にて国語を利用しないならば問題はほとんどありません。
が、そうでないなら!!!
ゴロで暗記したものが、単語ひとつ 対 ひとつ意味ゴロでは、効率が悪い。
多義語だと、ひとつの現代語の意味を、全部ゴロで覚えなきゃなりません。
これだけ私大文系大学に入学しにくくなると、入試問題の質も変わってきていて、暗記要素の強いゴロや〇ドンナの知識だと足りません。
よく出る問題部分は漫画でいいや
センター試験では特に、古文漫画の有名シーンは出題されません。
私大なら当たるかも知れないですが、バクチになります。漫画も取り掛かりとしては素敵な教材ですが、読んで見てほしいのは、古典常識としての背景やバックの絵。当時の習慣がわかります。
古文の学習が苦手、もしくは夏から秋本格的に始動するのなら、
- 古典常識
- 単語
- 文法
の順で学習するのが近道。
当時の生活や、習慣、世界観がわかるので、語句や文法が未完成でも状況が読みやすくなります。
【文法】河合出版「ステップアップ古典文法」青版
■ステップアップノート30「古典文法トレーニング」 (河合塾シリーズ)
この青版
他の参考書とどう違うかというと、単語の勉強をし始めている受験生なら、文法の学習も1ページ程度の文章問題も出来るのです。
右ページは、文法重要事項が書いてあるので、その下にある1行文や活用などのドリルになっています。
左ページは、文章問題のなかで、文法のきまりを見つけていく方式になっています。
単語や、重要な古典常識を、①で紹介した桐原315で少しずつ知識として増やし出した人は、どんどん古文の文章に触れるべき。
ある程度の長さがある文章のなかで、目当ての文法や、知っている単語を見つける回数を増やしましょう。
少し余裕があるなら、本文を自分の言葉でざっくり簡単に訳すようにしましょう。
青版ステッアップノートは、別冊の細かい現代語訳があります。
自分の言葉で訳す→現代語訳を見る→意味のずれている単語を単語帳で確認!
単語帳を辞書代わりに使って、何度も開きましょう!
ステップアップノート30「古典文法基礎ドリル」
古典文法ドリル式問題集としては、鉄板のシリーズ。
赤字の「ステップアップノート30」と干支の表紙が有名です。
この赤字のほうは、1行文の中で、テーマに沿った文法問題をコツコツ繰り返す編成です。
すごく文法の飲み込みが苦手で、何度も繰り返したいなら「青版」ではなく、この赤文字の「ステップアップノート30」が良いでしょう。
【問題集】「マーク式総合問題集国語 2020」「センター試験過去問レビュー」河合出版
「マーク式総合問題集国語 2020」
古典単語も、古典文法も、リズムがつかめている、
学校でのテストの時に、たくさん文法はやったから、夏に問題を解きたい受験生に。
河合塾が出版しているセンター過去問集と過去の模試をまとめた実践問題集です。
もちろん、センター試験はいらない、という私大文系専願の人も使えます。
「センター試験過去問レビュー」
量が限られている過去問に手を付ける前に、夏休みは実力試しとして、センターの過去問や実践問題を使いましょう。
そもそもセンター試験は高校2年生までの学習内容を確認するためのテストです。
上手くそれを活用して、今の自力を確かめましょう。値段も手頃な教材です。
ここで裏話。
センターの過去問は赤本を用意する受験生も多いですが、大手予備校がそれぞれ、駿台の青本、東進ハイスクールの白と緑の本、河合塾の黒本、…と編集して出版しています。
ちょっと裏話をすると、
駿台の解説は、少し細かすぎて、かつ古典常識や読解力がある事が前提で、知識から推測できることの難易度が高い。
東進は映像授業が有名ですが、解説が少し暗記に偏ります。
間をとって、国語の思考力と当たり前の古典常識、文法、単語を使って説明しているのが河合出版の黒本です。
過去問は全てセンターの出題なので同じ問題ですが、各予備校の模試をまとめたマーク式実践問題集は、もっと予備校ごとの癖が出ます。
全部の会社のものを見て比較すると、河合の黒本は、模試で扱っている文章も出典(問題文の作品のこと)の偏りが少ない。
私大の入試で、センター試験と同じ出典作品で、違う文章の部分が出ることもありますから、あらすじ・文学史の解説部分も役立ちます。
受験の合否を分ける夏休みは、マーク式の問題をある一定量学習したい
そこで、紹介したセンターの過去問や、実践問題集をやりこみましょう。
マーク形式はどちらも同じ形の問題ですから、「どちらからやる」とか、「どちらもやれ」、というのではなく、見たことのない文章が多いほうを購入し解き始めることをおススメします。
最近では、学校のセンター試験演習で過去問を2年生次に扱うこともありますので、初見の問題が多いほうを選びましょう。どんどん解答して1冊終われば、手を付けなかったほうを見てみてください。
そして解答するときは、「間違った=足りない知識」を、まとまって解説していますから、体系的に効率よく確認し、単語帳や文法にチェックをして万全にしましょう。
また、国立は受けないし、どうしよう、と迷っている方も、私大文系専願なら、黒本のマーク式問題集を2年前に出版されたものまで購入してみるのもおすすめです。
現代文も古文も、読んだ分量が増えていけば、目がなれてくるので、同じ表現が目に付いてきます。読みやすくなってくれば読解スピードがあがり、解答するスピードも上がります。
私が河合出版をお勧めするのは、解説が良いから。(回し者ではありません。)
文法事項や、間違いやすい語句を解説途中で一気にまとめてあります。
解き方がオーソドックスで、知識偏重でなく、高校生の知識に近い考え方で深過ぎません。